こんにちは。トビオです。
米国ETFへの投資を検討するために、これまでに幾つかの高配当株スマートベータのETFについて調べてきました。
ここで、これまで調べてきた事をまとめる意味も兼ねて、低コストな3つのETF【SPYD】【HDV】【VYM】をピックアップし、特徴や特性の違いを比較考察した内容を複数回に分けてご紹介していきたいと思います。
前回までの「①インデックス編」「②構成銘柄編」に続き、今回は「③パフォーマンス編」です。
パフォーマンス比較
分配金利回り
最初に、分配金利回りを比較します。
ご覧の様に、【SPYD】が他を引き離しトップで、2位が【HDV】、3位が【VYM】です。
「①インデックス編」でご紹介した様に、【SPYD】にはREITを含む高配当銘柄トップ80が集まっていることと、利回りは高いが規模は小さいという銘柄でも均等に配分されること等により、3つの高配当型ETFの中では最も高利回りになります。
【HDV】も配当支払い総額加重であるため、利回りの高い銘柄ほど配分も上がるのですが、利回りの高いREITを除外していること、エコノミック・モート基準およびデフォルト基準によって経営悪化で株価が下落し利回りが見かけ向上しているような銘柄が排除されやすいこと、時価総額も配分に影響するため利回りはソコソコで時価総額が大きい銘柄が組み入れられるとそれに引っ張られて全体の利回りが低下すること等により、【SPYD】ほどには【HDV】の利回りは上昇しないと考えています。
プライスリターン
3つのETFの中で最も設定日の新しい【SPYD】に合わせて、2016年2月29日からの3年間におけるパフォーマンスを比較します。
まず最初は、プライスリターンです。
(出所:Yahoo Finance サイト)
3年間のプライスリターンに関しては、S&P500に連動する【IVV】がトップで、2位が【VYM】、3位は【SPYD】、僅差で【HDV】が最下位です。
トータルリターン
次に、3年間の配当を含むトータルリターンを比較します。
(出所:ETFreplay.com サイト)
トップはやはり【IVV】ですが、高配当型ETFの中では、【SPYD】が追い上げて僅差で2位、次が【VYM】、最下位が【HDV】という結果です。
もう少し長い期間でのパフォーマンスを比較するため、ベンチマークするインデックス自体のトータルリターンを比較した結果が下表です。
3年間の結果は、先程のETFの結果とほぼ同じです。
5年間で比較すると、今度は【SPYD】が【IVV】を追い越しトップで、2位が【IVV】、3位が【VYM】、最下位が【HDV】です。
10年間になると、【SPYD】がぶっちぎりでトップで、2位が【VYM】、3位が僅差で【IVV】です。【HDV】は残念ながらデータが揃いません。
【SPYD】のパフォーマンスの良さの要因は、配当再投資による複利効果が高利回りであるために他よりも大きいためであると考えられます。
あくまで過去のパフォーマンスですので、将来もこの様になる保証はありませんが、長期における【SPYD】のパフォーマンスには大いに期待が持てます。
ボラティリティ
ETFの3年間データにおけるボラティリティは以下の通りです。
(出所:ETFreplay.com サイト)
さすがに高配当型だけあって、3つとも【IVV】よりはボラティリティは低いです。
特に【HDV】はボラティリティが最も低く、「①インデックス編」でもご紹介した様に、『モーニングスター配当フォーカス指数』の銘柄選定基準であるエコノミック・モート基準とデフォルト基準によるスクリーニングをパスした銘柄で【HDV】が構成されている効果だと考えられます。
最大下落率
ETFの3年間における最大下落率(Max Drawdown)を比較すると以下の通りです。
市場平均型に比べると、高配当型の3つはいずれも小さく、市場平均型に近い【VYM】よりも【SPYD】と【HDV】の方がより小さい傾向で、【HDV】が最も優位です。
(出所:ETFreplay.com サイト)
まとめ
3つの米国高配当スマートベータ型ETFである【SPYD】【VYM】【HDV】のパフォーマンスを比較した結果をまとめると以下の通りです。
- 分配金利回りに関しては、REITを含み均等配分方式を採用する【SPYD】が最も高い。
- トータルリターンに関しては、最も高利回りであることにより配当再投資による複利効果が最も大きくなる【SPYD】が優位。
- ボラティリティと最大下落率に関しては、銘柄選定において企業の質に最も拘る【HDV】が優位。
それでは、また!
前回までの記事↓