こんにちは。トビオです。
今回は、米国株🇺🇸の配当に対する課税を出来るだけ軽くする方法、その注意点について整理しておきたいと思います。
配当への二重課税とは?
米国株🇺🇸の配当に対する所得税は、まず米国において10%が源泉徴収され、差し引かれた金額に対して国内で20.315%が源泉徴収されます。
そのため配当の手取り額は約72%に萎んでしまいます。
国内株🇯🇵の場合は、20.315%の源泉徴収だけなので配当手取りは約80%残るので、税金面では米国株は不利です。
この様に、外国と国内の両方から配当に対する所得税を課税徴収されることが、配当への二重課税です。
外国税額控除で二重課税を調整する
配当への二重課税を調整するために、外国税額控除という制度があります。
確定申告をする必要がありますが、一定の金額を限度として外国所得税の額をその年分の所得税の額から差し引くことができる制度です。
しかし、所得税の控除限度額および復興特別所得税の控除限度額の範囲内ですので、必ずしも全額取り戻せる訳ではありません。
NISAの活用で国内課税分を非課税にする
米国株配当への税負担をより軽くするためには、やはりNISAを活用することでしょう。
NISA口座で米国株に投資した場合には、国内の所得税20.315%分が非課税になるので、先述の外国税額控除のケースよりも税負担はより軽くできます。
しかし、NISA口座の場合には、そもそも二重課税にはならないため、二重課税に対する制度である外国税額控除を適用することができず、外国税を取り戻すことはできません。
以上の様に、米国株に投資すると、特定口座であろうとNISA口座であろうと、米国あるいは国内いずれかの所得税は課税徴収されてしまい、全くの非課税にはできません。
現地課税が非課税のADR銘柄に投資する
米国市場で取引できる証券として、通常の米国株式以外に、ADRというものがあります。
ADR(American Depositary Receipt 米国預託証券)とは、米国外の企業等が発行する株式に対する所有権を示す預託証券で、預託機関である銀行や信託銀行が発行し、通常の米国株式と同じ様に米国市場で取引でき配当も貰えます。
ADRの配当に対する現地課税に関しては、対象企業が上場する国と日本の各税制、および二国間の租税条約に基づいて、現地での源泉税率や制限税率が決められます。
税率は国によって異なり、代表的な国の税率は以下に記載した通りです。
なお、現地での源泉税率が制限税率よりも高い欧州の国では、限界税率を適用してもらうためには還付申請が必要になってくる様です。
・英国🇬🇧:0%
・オーストラリア🇦🇺:0%
・インド🇮🇳:0%
・ブラジル🇧🇷:0%
・シンガポール🇸🇬:0%
・香港🇭🇰:0%
・中国🇨🇳:0, 10%の両ケース
・米国🇺🇸:10%
・フランス🇫🇷:10%
・オランダ🇳🇱:15%
・カナダ🇨🇦:15%
・フィンランド🇫🇮:15%
・イスラエル🇮🇱:15%
・ベルギー🇧🇪:現地課税25% → 還付申請15%
・イタリア🇮🇹:現地課税26% → 還付申請15%
・ドイツ🇩🇪:現地課税26.375% → 還付申請15%
・スイス🇨🇭:現地35%
したがって、現地課税0%の英国🇬🇧やオーストラリア🇦🇺などの国の企業のADRを買えば、配当への課税は国内課税分20.315%だけに抑えることができます。
さらに、現地課税0%のADR銘柄をNISA口座で買えば、国内課税分も非課税になるので、配当への課税額を0%にすることができます。
ADR銘柄に投資する際の注意点
配当課税を軽減できるADR銘柄をポートフォリオに組み入れる場合に、銘柄選択における注意点を押さえておきましょう。
先述した様にADR銘柄は米国外の企業ですが、米国市場で同じ様に取引できるからといって、米国株と同列に扱わない方が良いとトビオは考えています。
その最も大きな理由は、企業風土の違いにあります。
米国においては企業は株主のものであるという意識がより強く、株主価値が劣化すると経営者は株主から落第の烙印を押されます。
具体的な証拠として、連続増配年数の長さを見れば一目瞭然です。
下表は、配当利回りと連続増配年数に関して、利回りの高い代表的なADR銘柄と同業種の米国企業を比較したものです。
配当利回りだけを見れば、代表的な米国企業よりも高いADR銘柄はいくつもありますが、連続増配年数に関しては、明らかに米国企業の方が長いです。
配当利回りは、株価が下がれば相対的に上がるものなので、必ずしも企業業績の健全さを示している訳ではありません。
一方、連続増配年数が長いということは、その企業が競争力の高い事業構造を持っていることの証拠でもあります。
また、連続増配年数が長いということは、配当が毎年確実に増えていく可能性が高いということです。
未来のことは保証できませんが、配当再投資による資産価値の増大を投資戦略とする場合には、連続増配年数は特に注目すべきポイントです。
まとめ
・米国株🇺🇸の配当に対する課税は、確定申告による外国税額控除とNISA口座の活用によって抑えることができる。
・外国税が非課税になる英国🇬🇧やオーストラリア🇦🇺のADR銘柄をポートフォリオに組み入れる際には、課税面の有利さや配当利回りの高さだけに注目して決めるのではなく、米国企業が持つ企業風土の強みも踏まえた上で比較検討するべきである。
それでは、また!