米国REITのETFは幾つかありますが、どれを買うかを決める際に、どこが違うのか判らないってこと、ありませんか?
これまでも当ブログでは、米国REITの代表的なETFである BlackRock の iシェアーズ 米国不動産 ETF【IYR】の構成銘柄とセクターの特徴を調べてきましたが、2020年5月時点における最新の状況を改めてチェックしてみました!
ファンドの概要
BlackRockの iシェアーズ 米国不動産 ETF【IYR】は、米国の不動産セクターの株式で構成される指数『ダウ・ジョーンズ米国不動産指数』と同等の投資成果をあげることを目指しています。
基本スペック
- インデックス:『ダウ・ジョーンズ米国不動産指数』
- 純資産総額:2,665 M USD
- 構成銘柄数:113
- 経費率:0.42%
- 設定日:2000年06月12日
(2020年5月14日現在)
米国REITのETFには、他に【RWR】や【XLRE】がありますが、これらの中では【IYR】が最も早くに設定されています。
経費率は0.42%で、競合相手の【RWR】の0.25%や【XLRE】の0.13%と比べると少し高いです。
インデックス『ダウ・ジョーンズ米国不動産指数』とは?
【IYR】のインデックス『ダウ・ジョーンズ米国不動産指数(Dow Jone U.S. Real Estate Index)』は、S&P Dow Jones Indices LLCが算出・公表している指数で、浮動株調整後時価総額上位95%の米国株式の中で、開発・管理・所有を通じて直接的または間接的に不動産に投資するREITやその他の企業(不動産エージェンシーを含む)などの不動産セクター銘柄のパフォーマンスを表す時価総額加重配分の指数です。
投資対象の規模は大型から小型まで比較的幅広くカバーしていますが、時価総額上位95%の足切りにより小さい側の一部はカットされます。
銘柄入替は年1回、リバランスは年4回行われます。
【インデックスの特徴】
構成銘柄
【IYR】の構成銘柄上位20位を下表に示します。
時価総額加重配分なので、全113銘柄のうちの上位10社で全体の約45%、上位20社で約60%を占めています。
上位10銘柄を見ていきましょう。
1位のAmerican Tower Corp.、3位のCrown Castle International Corp.、6位のSBA Communications Corp.は無線通信タワーなどを手掛けるインフラ系(Infrastructure)のREITです。技術革新著しい5G通信を支える存在で成長が期待されます。ここ最近、インフラ系は常に上位を占めています。これは米国REITの特徴の一つです。
2位のPrologis,Incは倉庫や配送センターなどの物流系(Industrial)のREITで、こちらはeコマースを支える存在です。
4位のEquinix,Inc.と5位のDigital Realty Trust,Inc.はデータセンター(Data center)のREITで、インフラ系銘柄と共に情報社会を支える存在ゆえ成長が期待され調子も良いです。🤗
7位のPublic Storageは日本で言えばトランクルームなどの貸倉庫(Self-storage)のREITです。
8位のCostar Group Inc.はその他(Others)に分類していますが、商業用不動産やアパート賃貸等の情報、オンライン市場を提供しています。
9位のAvalon Bay Communities,Inc.と10位のEquity Residentialは住宅系(Residential)のREITで、いずれも全米でアパートメント(マンション)を展開経営しています。
今回の調査では、上位10位から商業施設系(Retail)の銘柄が消えています。
惜しくもRealty Income Corporationが11位ですが、少し前までトップクラスを占めていたショッピングモール等の大手であるSimon Property Group,Inc.は今回13位に沈んでいます!
このセクターはコロナの影響で奮いません。😢
また、高齢者施設や病院などのヘルスケア系(Health Care)も今回は奮わず、Welltower,Inc.は14位です。😢
セクター構成
【IYR】の全構成銘柄のセクター構成をグラフにすると以下の様になっています。
1位がインフラ(Infrastructure)、2位が住宅(Residential)、3位が物流(Industrial)、4位がデータセンター(Data center)、5位が商業施設(Retail)です。
次に、前回調査からのセクター構成変化を見てみましょう。
【IYR】にはREITの全セクターが含まれており、1位のインフラ(Infrastructure 20.1%)と最下位の森林(Timberlands 2.0%)ではさすがに開きはあるものの、上位から下位まで比率は少しずつ漸減しています。
その点では最も分散できている米国REITのETFだと思っていたのですが、ここ最近はインフラ(Infrastructure 20.1%)の突出具合がやや目立ちます。米国REITの特徴ではありますが。
また、前回調査結果との比較から、インフラ(Infrastructure)、データセンター(Data center)と物流(Industrial)の躍進ぶりがはっきり分かります!
それに対し、商業施設(Retail)が大きく後退しています。
まとめ
BlackRockの【IYR】は、米国REITへの投資を考える場合、日々の出来高も多く最も代表的なETFです。
経費率が比較的高い点だけか残念ですが、構成銘柄数も多く米国REITの全セクターに広く分散して投資することができ、米国REITのETFの中では最もクセのないETFだとトビオは考えています。
なお、【IYR】のパフォーマンスについては、別記事でまとめていますので、よろしければご覧ください。↓
それでは、また!