米国リート(REIT)のETFにも幾つかありますが、どれを買うかを決める際に、どこが違うのか、特徴は何なのかが判らないってこと、ありませんか?
これまでも当ブログでは、S&P500不動産セクターに投資する State Street Global Advisors(以後、SSGA) の不動産セレクト・セクター SPDR ファンド【XLRE】の構成銘柄とセクターの特徴について調べてきましたが、2020年5月時点における最新の状況を改めてチェックしてみました!
ファンドの概要
SSGAの不動産セレクト・セクター SPDR ファンド【XLRE】は、『S&P 不動産セレクト・セクター指数(Real Estate Select Sector Index)』の値動きと利回りに、経費控除前で概ね連動する投資成果を上げることを目標としているETFで、SSGAのSPDR セレクト・セクター・シリーズの1つです。
S&P500のうちの不動産セクターだけに投資すると考えれば分かりやすく、その98%はREITが占めています。
基本スペック
- インデックス:『S&P 不動産セレクト・セクター指数(Real Estate Select Sector Index)』
- 純資産総額: 3,893 M USD
- 構成銘柄数:31
- 経費率:0.13%
- 設定日:2015年10月07日
(2020年5月14日現在)
構成銘柄がS&P500に限定されるため、銘柄数は31銘柄と、米国リートに投資する他の【IYR】や【RWR】と比べるとずいぶん少なめです。
経費率が0.13%と低いのも特徴で、競合相手の【IYR】の0.42%や【RWR】の0.25%と比べてもずいぶん低いです。
インデックス『S&P不動産セレクト・セクター指数』とは?
【XLRE】のインデックス『S&P不動産セレクト・セクター指数』は、S&P500指数のうちの不動産セクターに分類される銘柄から構成される時価総額加重型の指数で、投資対象はモーゲージリートを除く不動産管理・開発とリート等の産業分類の企業になります。
競合する米国リートのETF【IYR】のインデックス『ダウ・ジョーンズ米国不動産指数』や 【RWR】のインデックス『ダウ・ジョーンズU.S.セレクトREIT指数』と比較すると、対象がS&P500に含まれる大型の少数銘柄に限定されている点がこのインデックスの一番の特徴です。
リバランスは年4回行われます。
(なお、2020年3月に行われるはずだったリバランスはコロナの影響で延期され、次回のリバランスは2020年6月の予定です。)
【インデックスの特徴】
構成銘柄
【XLRE】の全構成銘柄を下表に示します。
時価総額加重配分なので、全31銘柄のうちの上位10社で全体の約67%を占めています。
上位銘柄を見ていきましょう。
1位のAmerican Tower Corp.、3位のCrown Castle International Corp.、6位のSBA Communications Corp.は無線通信タワーなどを手掛けるインフラ系(Infrastructure)のREITです。技術革新著しい5G通信を支える存在で成長が期待されます。
ここ最近、インフラ系REITは常に上位を占めています。🤗
2位のPrologis,Incは倉庫や配送センターなどの物流系(Industrial)のREITで、こちらはeコマースを支える存在です。
4位のEquinix,Inc.と5位のDigital Realty Trust,Inc.はデータセンター(Data center)のREITで、インフラ系銘柄と共に情報社会を支える存在ゆえ成長が期待され調子も良いです。🤗
7位のPublic Storageは日本で言えばトランクルームなどの貸倉庫(Self-storage)のREITです。
8位のAvalon Bay Communities,Inc.と9位のEquity Residentialは住宅系(Residential)のREITで、いずれも全米でアパートメント(マンション)を展開経営しています。
10位のRealty Income Corporationは商業施設系(Retail)のREITです。
このセクターはコロナの影響で奮いません。少し前までトップクラスを占めていたショッピングモール等の大手であるSimon Property Group,Inc.は今回12位に沈んでいます。😢
上記以外のセクターでは、高齢者施設や病院などのヘルスケア系(Health Care)も今回は奮わず、Welltower,Inc.は13位です。😢
セクター構成
セクター構成は以下のグラフに示す通りです。
1位はインフラ(Infrastructure)、2位はデータセンター(Data center)、3位は住宅(Residential)です。
1位のインフラは実に全体の約30%を占めています。一般的な見方では、少し偏り過ぎかもしれません。
一方、日本とは異なり、オフィス(Office)の割合は全体の5.9%と少なめです。
次に、前回調査からのセクター構成変化を見てみましょう。
インフラ(Infrastructure)、データセンター(Data center)と物流(Industrial)の躍進がはっきり分かります!
こういったテクノロジー系のセクターが上位に来るのは米国REITの特徴の一つですね。
それに対し、前回調査の時には2位で16.0%もあった商業施設(Retail)が、今回は5位の7.7%に後退しています。
まとめ
SSGAの【XLRE】は、S&P500に含まれる比較的規模の大きいリート等の不動産セクター銘柄に投資するETFです。そのため、構成銘柄数は他の米国リートのETF【IYR】や【RWR】と比べると少ないです。
セクター構成に関しては、他の米国リートETFと比較して、今後も成長が期待される5G通信を支える無線通信インフラ系銘柄や情報社会を支えるデータセンター銘柄の構成比率が高い点が【XLRE】の特徴です。
設定してからの日は浅いですが、【IYR】や【RWR】と比べて経費率が低く、米国リートのうちでインフラ系を中心とする高成長セクター寄りの投資を敢えてしたい場合には有力な候補となるでしょう。
【XLRE】のパフォーマンスについては、別記事にまとめていますので、よろしければご覧ください。↓
それでは、また!