米国企業の力強い成長力を背景にした超定番インデックス『S&P500指数』への連動を目指すETF8本をピックアップし、自分にとって最適な1本を選ぶうえで知っておきたいそれら8本の違いを比較しておきたいと思います。
(2020/04/18:初回記事に対し、新たに上場されたETFを追加し情報内容を更新しました。)
インデックス『S&P500指数』
S&P 500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している米国大型株の動向を表す時価総額加重平均型の株価指数で、米国の主要産業を代表する500社により構成されており、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。
米国ETF:IVV, SPY, VOO
S&P500指数連動のETFへの投資を考える場合に、本家本元の米国ETFから候補を選ぶのであれば、以下の3つが代表的です。
- 【IVV】iShares Core S&P 500 ETF(BlackRock)
- 【SPY】SPDR S&P 500 ETF(State Street Global Advisors)
- 【VOO】Vanguard S&P 500 ETF(Vanguard)
純資産総額については、大きい順に、
- 【SPY】256 B USD(2020/04/16)
- 【IVV】177 B USD(2020/04/16)
- 【VOO】129 B USD(2020/04/16)
いずれも超巨大なETFです。
歴史は【SPY】が最も古く、規模も米国ETFでは最大規模を誇ります。
コストについては、経費率の低い順に、
- 【VOO】0.03%
- 【IVV】0.04%
- 【SPY】0.0945%
現時点(2020/04/18)で、最も経費率の低いのが【VOO】です。
つい最近までは、【VOO】も0.04%で【IVV】と並んでいましたので、いずれ【IVV】も追随して下げてくるかもしれません。
パフォーマンスについては、ほとんど同等でしょう。
いずれを選ぶかは好みの問題です。
【SPY】は『SPDR スパイダー🕷』の『スパイ』なので、ちょっとカッコいいコードですし、【VOO】はS&P500の『500』をギリシャ数字に置き換えたコードになっており、これもなかなか洒落ています。
そんな選び方をしても全然問題ないくらい、いずれも良いETFです。
なお、以上の3本のETFを購入する場合には、外国証券取引口座を証券会社で開設する必要がありますが、今やネット証券などでは簡単にできますので、ほとんど制約にはならないと思います。
まあ、制約になるかもしれない点は、米国市場が開く取引可能時間帯が時差の関係で日本時間の夜になる点でしょうか。
国内ETF:1547, 1557, 1655, 2521, 2558
国内市場取引可能なS&P500指数連動ETFに投資したい場合には、以下の5つがあります。
- 【1547】上場インデックスファンド米国株式(S&P500) (日興アセットマネジメント)
- 【1557】SPDR S&P500 ETF(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・トラスト・カンパニー)
- 【1655】シェアーズ S&P 500 米国株 ETF(ブラックロック・ジャパン)
- 【2521】上場インデックスファンド米国株式(S&P500)為替ヘッジあり(日興アセットマネジメント)
- 【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(三菱UFJ国際投信)
このうち、日興の【1547】と【2521】は、どちらも米国株式インデックスファンドで組成したETFですが、為替ヘッジの有無が両者の違いです。前者は為替ヘッジなし、後者は為替ヘッジありとなります。
ステート・ストリートの【1557】は、先に紹介した米国ETF【SPY】を日本へも上場したものです。
もともと米国籍ETFですので、外国税10%が分配金に課税され源泉徴収されます。
また、分配金が銀行口座に払い込まれれるので、証券口座内で管理を完結できない点にも注意しておいた方が良いかもしれません。
ブラックロックの【1655】は、先に紹介した【IVV】で組成した円建てのETFです。
三菱UFJ国際投信の【2558】は、上記5本の中では最後発の新しいETFです。
純資産総額については、大きい順に、
- 【1557】25,787 十億円(2020/03/31)
- 【2521】26,802 百万円(2020/04/17)
- 【1547】15,625 百万円(2020/04/17)
- 【1655】8,085 百万円(2020/04/17)
- 【2558】2,723 百万円(2020/04/17)
【1557】は米国ETF【SPY】の日本上場版なので、資産規模は【SPY】と同じで桁違いに大きいですが、それと比べると、それ以外の国内ETFの規模は遥かに小さいです。
また、【1547】【1655】【2521】【2558】の4つについては取引量もまだまだ少ないですが、ある程度の値幅の中で取引できるようにマーケットメイクされますので、売買にできずに困ることはないと思います。
コストについては、現時点(2020/04/17)の信託報酬の低い順に、
- 【2558】0.078%
- 【1557】0.0945%
- 【1547】0.15%
- 【1655】0.15%
- 【2521】0.15%
最後発の【2558】が最も低コストです!
3〜5位は同率です。
もともとが米国ETFである【1557】と最後発の【2558】を除いた残り3つの国内ETFはいずれも0.15%で、国内ETFとしてはそれほど高い部類には入りませんが、【1557】や【2558】や先に紹介した米国ETFと比較するとコスト的にやや見劣りします。
日当たり売買代金については、日によってばらつきがありますが、【1557】が最も多く、その次が【1655】と【1547】でしょうか。それでも先の米国ETFと比べるとずっと少ないのはどうしようもありません。
5つの国内ETFの違いの1つに、最低売買金額があります。
日興の【1547】とステート・ストリートの【1557】は現在の取引値と売買単位からすると最低金額はだいたい3万円程度ですが、もう1つの日興の【2521】だと1万円程度、ブラックロックの【1655】だと2千円程度、三菱UFJ国際投信の【2558】だと9千円程度です。
出来るだけ小口で取引したい場合には断然【1655】でしょう。配当再投資がやり易いです。
まとめ
米国株の超定番インデックスであるS&P500指数への連動を目指す8つのETFについて、主に純資産総額やコストを中心に比較しました。
なお、同じ指数をベンチマークするものばかりなので、大差のつかないパフォーマンスについては今回はあえて比較しませんでしたが、S&P500ETFの分配金利回りに関しては、米国ETFに比べ日本ETFは総じてやや低めです。
経費率や流動性の点で選ぶなら
さて、今回の結論ですが、S&P500指数連動のETFへの投資を考えるのであれば、トータル的には、やはり経費率や流動性の点で3つの米国ETF【SPY】【IVV】【VOO】が断然魅力的です。
これら3つについては、資産規模や流動性についてはいずれも問題ないので、経費率が最も低い0.03%の【VOO】が一歩リードと言えるでしょう。
円での取引や分配金にこだわるなら
円での取引や分配金にこだわるのであれば、国内ETF【1547】【1557】【1655】【2521】【2558】になります。
米国ETF【SPY】の日本上場版【1557】以外の4つは純資産総額がまだまだ小さいですが、これらの中から敢えて選ぶのであれば、【1655】の最低売買金額の低さと【2558】の信託報酬の低さはなかなか魅力的です。
これらに対し、【1557】は、せっかく国内で買うのに分配金に外国税が課税されてしまうこととがちょっと辛いですが、【1557】は純資産総額がダントツに大きく、コストも低く、更に国内売買代金が多い点が魅力です。
また、本家本元の米国ETF【SPY】の日本上場版である点に絶対的安心感があります。
なお、【1557】に掛かってくる外国税については、確定申告で外国税額控除をして一定範囲内で取り戻すこともできます。
外国税額控除も一度やってみれば、お金が返ってくると思えばそれほど手間ではありません。
それでは、また!