こんにちは。トビオです。
今回は、配当再投資戦略に基づき長期資産運用を進めるシーゲル派の株式投資家にとって、バイブルと呼ばれている名著を紹介します。
本のタイトル、著者
『株式投資の未来 The Future for Investors』
ジェレミー・シーゲル著
日経BP社刊
俗に、長期株式投資家にとっての”赤本”と呼ばれている本で、別記事で紹介した『株式投資 Stocks for the Long Run』の姉妹本の位置付けにあたりますが、本書の方がより多くの高配当再投資戦略の株式投資家に絶賛されているようです。
著者のシーゲルは、前著『株式投資 Stocks for the Long Run』で、長期投資においては株式が最も高リターンで低リスクであると説き、その手段としてインデックス投資を推奨しましたが、本書ではその考え方をベースにして、更に個別銘柄のリターンに関する膨大な調査結果も踏まえて、市場平均以上のリターンを得るための基本原則と、長期投資家の取るべき態度を判り易くまとめ直しています。
長期投資で市場平均以上のリターンを得るための基本原則と投資家の取るべき態度
◆長期投資の基本原則1
長期投資で大きなリターンを得るためには、企業の成長率が高いだけではダメで、投資家の予想を上回る必要がある。
闇雲に高成長のハイテク株を追いかけても、投資家が予想する期待は既に株価に織り込まれており高値買いとなってしまって結局リターンを得られない。そればかりか、期待で上昇した株価は下がるのも速く大損するハメになる。
むしろ、世間からはあまり期待されず流行らないが、稼いだ利益を株主にしっかり還元し続ける老舗企業にこそ、投資家の期待を上回るチャンスがある。
◆長期投資の基本原則2
長期投資におけるリターンの源泉として最も重要なものは配当である。
しっかり配当を投資家に払い続ける企業の株を買い、得られた配当をガマンして再投資し続けるのが、長期でみれば最も高いリターンを確実に得られる方法である。
そして、株価が下がった時にもガマンして買い続ければ、より多くの株を買い増すこともでき、いずれ株価が戻った時には大きなリターンを手にすることができる。
以上2つの基本原則についての説明が本書の1つ目の柱であり、シーゲルが提示する豊富なデータにより非常に説得力のある説明となっています。
シーゲルが説く株式投資の未来とは?
◆本書において著者のシーゲルは、急速な高齢化が進む先進国の中だけでは、将来に得られるはずの長期投資のリターンを享受することが出来なくなってくることを確実な未来として提示しており、警鐘を鳴らしています。先進国では高齢化と人口減少により生産人口比率が急速に萎むため、蓄えた株式資産をリタイア後に現金化する際、必要となる引き受け手がいなくなるためです。この問題に対するシーゲルの答えは、その引き受け手は新興国になるであろうというものです。そのために重要となるのが、自由貿易と経済システムのグローバル化だというのが著者の主張です。
以上が、本書で著者が述べたかった2つ目の柱であり、それ故に本書のタイトルが『株式投資の未来 The Future for Investors』とされたのでしょう。
“緑本”よりも読みやすい”赤本”
本書は、先に著された俗に”緑本”と呼ばれている『株式投資 Stocks for the Long Run』にも増して、読み易く、判り易く、勉強になったように感じると思いますが、その理由は、一貫して「投資家はどのような態度で長期投資に臨むべきか」という観点でまとめられているからでしょう。
まさに、長期投資家にとって、バイブルと呼ぶに相応しい素晴らしい本です‼︎
それでは、また!